IT スティーヴン・キング ピエロ

IT スティーヴン・キング ピエロ

 

ここ最近のホラー映画はかなり洗練され、ホラーキャラもアイコニックされたものが多い。また、クオリティも突き詰めているので、主人公たちだけでなく、我々もおののくようなリアリティがある。「へレディタリー ー継承ー」なども評価が高かったが、今回は今でもなお多くのファンがいる「IT(イット)」の再映像化版、「IT /イット ”それ”が見えたら終わり」を紹介したい。

オリジナル版が制作されたのは今から30年前。日本はその1年後に公開されている。オリジナル版は上映時間が非常に長く、通常の1時間半に比べるとこの映画は188分、つまり3時間弱もあった。実はこの「IT」は、テレビのミニシリーズとして2回分に分けて放映されたものを1つにつなげたものだった。その影響もあり、今回の再映像化版も同様、前編と後編に分かれている。この方が実際見やすい。オリジナル版の本編時間は一気に見るとかなり疲れるし、長い。

当時よりこの映画の中で登場する、象徴的となるキャラクターがペニー・ワイズというピエロである。赤髪にピエロのメイクを施し、不気味に笑う。主人公たちにどんどん近づき、暗闇や排水溝など何がいるかわからないところに現れては、彼らの命を脅かすのだ。彼らはもちろん恐怖を感じるが、こちらもただのピエロのはずなのに気味が悪く、次第にトラウマのような気持ちにさえさせるのだ。主人公たち5人組と一緒だ。彼らは街から、どんどん消えていく子供達の正体がわからず、恐怖の象徴として、ペニーワイズを生み出し、具現化していったのである。

予告編を見た時から、ペニーワイズの迫力がすごく、良い意味で不気味に描かれていた。オリジナル版も相当笑うと怖いが、今回も負けないくらい後からフラッシュバックするような嫌な顔つきだ。風船をもらってコンタクトしたからには100%連れて行かれそうな、悪さを見せつけている。ちなみに、このペニーワイズというピエロのキャラクターは実際にいた連続殺人鬼にヒントを得て作られており、実際このモデルとなったジョン・ゲイシーはピエロをパーティなどで勤めていたという。また、「IT /イット ”それ”が見えたら終わり」はこのオリジナルの27年後に制作されたものであるが、それは実際にこの殺人鬼が27年ごとに事件を起こすことに着想も得ているらしい。本来、ピエロはサーカスやパーティで姿を現す道化師であり、このように人を殺したりなどはないのだが、少なからず映画視聴後は疑わない訳にはいかない。特に最新版は見事にそのキャラを位置づけている。

劇中のキャラだけでなく、このように視聴者までもがトラウマ並にピエロに恐怖を感じるのは、作者スティーヴン・キングや制作者たちの意図を捉えたといって間違いない。この正体が見えない人さらい「IT(イット)」は人々が思い描く、思い思いの恐怖の姿を、形而上のものから、物体にすることで、私たちにさらに恐怖を目に焼き付けている。

この再映像化を知った段階で、私は少々視聴を迷っていた。劇場で真っ先に見るか、レンタルを待つか、映画公開日まで決められずにいたのだ。

それも何も、原因はこのストーリーの結末に全てがある。オリジナル版というのは、3時間弱もあるため、結末にたどり着くまで時間がかかる。一体このペニーワイズの正体はなんなのか、果たして彼らは謎の殺人犯「IT(イット)」とどう立ち向かうのか、後半の大人になってからも、「スタンド・バイ・ミー」のようにワクワクされる展開だった。しかし、このピエロの正体は何もピエロでなくてよかった。当たり前である、正体がわからず彼らが具現化していたキャラクターだったのであるから。正体がわかってからは、状況がつかめず、「ラストなんて結局どうでもいいんではないか」と疑問を持ちながら迎える結末は幼少時代かなり混乱した。以上の出来事から、今回の劇場公開に当たって、同じような終わりを迎えてしまう”恐怖”で悩んでいたのだ。

しかし、映画自体はやっぱり好きだったため、同じくホラー映画好きの友人と見にいったわけだが、描写はなかなかしっかりとしており、ペニーワイズもよりダークに表現されている。主人公たちもしっかりキャラクター付けされており、ストーリーもオリジナル版よりもわかりやすい内容だった。おしゃれなホラー映画に仕上げられており、多くの人が楽しめるホラー映画だろう。

少々ラストで後半のラストを匂わせる描写があり、ショックを隠せなかったが、それはさておき、前編と後編に分けることで、後編へ足を運ぶ視聴者は多いはずである。よりサスペンスドラマに近い出来になっていることと、現代版へオーガナイズされた良作と感じる。

しかし、スティーヴン・キングが原作の映画というのは本当に素晴らしい作品もあるのだが、それは大海の一滴とは大げさであるものの、そのくらいラストである意味衝撃を受けるものが多いのが現実である。ファンはこのようにして何作も作られる彼の原作を見て、その中から逸品を見つけるのだ。「IT」はその中でもキャラが際立ち恐怖やトラウマを感じることで、不動の勝利を得ている作品と言っても良い。

この他の作品で、まだ未見の方は「スタンド・バイ・ミー」や「ミスト」などをぜひご覧になってもらいたい。「キャリー」や「ミザリー」などクラシックなものでも良作がある。また、最近同様にリメイクされたものといえば「ペット・セメタリー」なども新しい。単品で見るのも一つの楽しみであり、このように原作者を追って映像を見ていくと、そのまた違ったテイストに面白さを見つけられるだろう。

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