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【ネタバレ有り】『運び屋』あらすじ・解説 イーストウッドが最後に伝えたいメッセージとは?

【ネタバレ有り】『運び屋』あらすじ・解説 イーストウッドが最後に伝えたいメッセージとは?

 

『運び屋』は、麻薬の運び人となった孤独の老人が、麻薬取締局に追われながらも、家族との関係を修復しようと奮闘する物語です。

本作は、ニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された記事”The Sinaloa Cartel’s 90-Year-Old Drug Mule”を基にして作られた作品です。

サム・ドルニックが執筆したこの記事には、87歳の運び屋レオ・シャープが麻薬取締局に尾行され、計画的に逮捕される場面やユリ農家としての成功と挫折、そして麻薬ビジネスに手を染めるようになった原因が、詳細に記されています。

『運び屋』では、名優クリント・イーストウッドが、この孤独な老人を丁寧に演じています。

イーストウッドが、自身の監督作に出演するのは、08年に公開された『グラン・トリノ』以来、実に10年ぶりのことです。

 

なぜ、イーストウッドは『運び屋』で再びスクリーンに復帰したのか?

イーストウッドは『運び屋』を通して、何を伝えたかったのか?

 

この記事では、『運び屋』のあらすじと魅力を、徹底解説していきます。

 

■作品情報

タイトル:『運び屋』(The Mule)

公開日:2019年3月8日(日本)、2018年12月14日(USA)

尺:116min

監督・出演:クリント・イーストウッド

出演:ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン

 

■予告編

https://youtu.be/MFvM7wcCuk4

 

■あらすじ(ネタバレなし)

90歳を目前に控えたアール・ストーンは、園芸農場の経営、そして自慢のデイリリーを品評会に出すことが生き甲斐となっていました。

家族を蔑ろにし仕事一筋で生きてきたアールは、妻や娘からは見放され、唯一味方をしてくれるのは孫娘だけ。

やがて園芸の事業にも失敗し、自宅と農場を差し押さえられることになったアールでしたが、ある日、「ただ車の運転をすればいい」という仕事を持ちかけられます。

仕事を引き受けたアールは、荷物を車に積み、目的地まで運んでいきます。

その中身が「麻薬」であるとは知らずに…。

 

■『運び屋』をみた感想

『運び屋』は一言で表すと、「イーストウッドの人生そのもの」のような映画でした。

また、本作は人生の晩年にさしかかったイーストウッドの「贖罪」、そして次の世代への「継承」の物語にも感じられます。

 

イーストウッドは『運び屋』を通して、いったい何を伝えたかったのでしょうか?

 

この謎を解くため、ここでは、2つの視点から、『運び屋』を解説していきます。

 

以降は、ネタバレを含みますので、結末が知りたくない場合は飛ばしてください。

 

▼「贖罪」の物語 重なり合う2人の人物

『硫黄島からの手紙』(06)や『アメリカン・スナイパー』(14)、『ハドソン川の奇跡』(16)など、イーストウッドは、実在の人物や実話を基にした映画を多く撮っています。

イーストウッドは、説明描写やセリフを極力省き、撮影でも照明は使用せず、撮り直しもしないことで有名な監督です。

物語のフィクション性をできる限り排除しつつ、リアリスティックな物語を構築しているのが特徴なのです。

演出らしさを極限まで削ぎ落とすイーストウッドが、『運び屋』の主人公、アールのキャストに選んだのは、イーストウッド自身でした。

『運び屋』のアールは、家族をかえりみず、デイリリーの栽培に人生のすべてを捧げる男として描かれています。

イーストウッドもまた、俳優・監督として次々と名作を生み出す一方、二度の離婚に加え、愛人との間にも子どもを作り、合計8人の子どもを作ってしまう自由奔放な方です…。

『運び屋』のラストに、イーストウッド演じるアールは、「俺は家族より仕事を優先した。最も大切なのは家族だ。仕事は2番目でもいいが、家族は1番でなければならない」と口にします。

その姿はアールという一人の男の「贖罪」であると同時に、イーストウッド自身の「家族への贖い」の言葉であるように感じられます。

ちなみに『運び屋』では、アールを見放す長女のアイリス役に、イーストウッドの実の娘アリソン・イーストウッドを起用しています。

私たち観客は、アール・ストーンとクリント・イーストウッドという2人の男の人生を重ね合わせずにいられないのです。

 

▼「継承」の物語 イーストウッドを継ぐ男

レディー・ガガが主演を務めたことでも有名な『アリー/スター誕生』(18)は、もともとイーストウッドが監督をする予定でしたが、途中で、ブラッドリー・クーパーに交代しました。

ブラッドリー・クーパーは、『世界にひとつのプレイブック』(12)や『アメリカン・スナイパー』(14)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)など、次々に話題作に出演する俳優のひとりです。

そして『アリー/スター誕生』で監督デビューを果たし、次回作は名指揮者レナード・バーンスタインの伝記映画を監督することも決定しています。

俳優出身でありながら、監督としても高い評価を受けているクーパーですが、その経歴は俳優出身でもあり、監督としても多くの作品を残しているイーストウッドと似ています。

ブラッドリー・クーパーは、『運び屋』で孤独な老人アールを追う麻薬取締局の男コリン・ベイツ役として出演しています。

アールはコリンに逮捕される直前、コリンに「(仕事ばかりではなく)家族のことも考えろ。記念日は大切だ。忘れちゃいかん。俺は記念日を忘れてばかりいた。俺みたいになるんじゃないぞ」と伝えます。

その言葉は、イーストウッドが贈る、次の世代を生きる者へのメッセージにもなっているのです。

 

最後に

今回は『運び屋』のあらすじ・感想ついて紹介しました。

『運び屋』は、これまでに数多くの作品を生み出したイーストウッドの集大成的作品でもあると同時に、イーストウッドの「人生観」が色濃く描かれた作品になっています。

イーストウッドはこの映画を通して、家族に謝りたかったのかもしれませんね。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

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